NO6
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z 明 |
「怒ってるかなフェルティア。それよりアルちゃんの方が怖いけど」
レジス・シャールは飛び出したもののどうすることもできずにふらふらと町の中をさ迷っていた。飛び出たものの、逃げ出すわけにいかず、かといって戻るのも気まずく、ふらふらとしているのだが。 「素直に謝ろうかな。いや、俺は悪い事はしてない。フェルティアを危ない事に巻き込みたくないだけだしな」 誰か迎えに来てくれればいいのに。そんな都合のいい想像をレジスはしてみた。 「探しましたレジスさま。私もう危ないことをしませんから」 「そうだレジス氏、わしが悪かった」 おお、それはいい。 「それはもう無理だと思うよ」 不意に聞こえた声に慌て振り向くとフェイト・クローナの姿があった。 「あ、フェイトさんもしかして俺を探しに?」 残念そうな声だった。 「いや。ちょっと自分も出る事になって」 「ダメじゃんそんなの」 「それではあまりに心配だからレジスくんに戻ってもらおうと思ったんだ」 「ええ。何で出ちゃうんですか」 「まあ。自分を嫌っている男が必要でね。彼を入れる代わりに出たというわけさ」 「アルちゃん寂しがるんじゃないかな」 「少なくともアルフェスタの息女ほどではないね」 レジスは黙った。 「是非戻って欲しい。自分がいなくなって、君までそのままではね。それに新しく入った男は美男子だよ」 「え」 「あの男が自分を遠ざけたのもそんなハーレムのような状況を作ろうという腹なのかもしれないよ」 真顔でフェイトがいうが、レジスにはかえって胡散臭さを感じさせるようになっていた。 「頼むよレジス君。ああ、帰り辛いならこれをあげよう」 フェイトはどこからともなく指輪を取り出した。 「これは?」 「姿隠しの指輪だ。これでこっそり見ていて非常時になったら出て行ってもいいと思うしね。おいしい展開ができるよ」 「いいの貰って」 さらに胡散臭く思えるが、物の魅力は絶大だった。魔力より何より光物としていい指輪だった。 「でも」 「レジスさま」 振り返るとフェルティアの姿が見えた。そしてフェイトの姿はない。 「これか」 フェイトの姿は消えていた。レジスは懐に指輪を押し込むとできるだけ当たり前のようにいった。 「よう」 「人を心配させといて何がようですか」 「気さくにいこうと思ったのに逆効果か」 「何口の中でいってるんですか」 「いや、なに」 レジスの側に立つとフェルティアは手を組んだ。 「さあ、いきますよ。アルさんが心配していますから」 「え、ああ」 |
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