NO4
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一夜が過ぎた。 フミヨはガドフリーの動く城となった。それだけで巨大な沈まぬ船を手に入れたのと同じことだ。 フェイト・クローナ。 アル・ナスライン。 二人を超える能力を持ったものは多くない。その二人に対し、あれだけの成果をあげた死兵もある。 ダルタロック神の使徒の中でも、問題なく最上位だろう。どちらかしとめ、神に捧げることができなかったのは残念だ。 「こんなものを用意していたとは思わなかった」 立っているのは魔術師だ。 「切り札は用意してあるものだ」 「なるほど。あなたが覇者となるべく選んだのはこれなわけね」 「これだけではないがな」 ガドフリーは笑った。 「ふ〜ん。ところで、いいの木片は」 「これがあれば問題はない」 「そう。じゃあ、あれは私が貰っていいかな」 「ドラゴンを相手するのか?」 「あんなのただの大きな蜥蜴だもの」 「本気か?」 「嘘よ。ただ、手に入れたらフミヨの施設を使わせてもらいたいんだけどいいかしら。少し興味があってね」 「構わん」 これからすべきことは数多あった。既にフミヨの技も動く要塞としての価値しかない。 「欲がないこと」 「そうだ欲をかいてもしょうがない」 接岸するだけなら今のフミヨの力で事足りる。この件が広がるまで一日あまり。この日の為に、各所にコネクションは作ってある。フミヨに対する干渉が始まるのは一月以上先だろう。その間に、国の一つは落とせるはずだ。そしてそのときにはもう遅い。 「そして世界に安息がもたらされる」 ガドフリーは新しい世界を夢見ながら呟いた。 |
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