NO3
祖の  
 森にて

その1
その2
その3
その4
その5

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3




 ドラゴンの子は嬉しそうに飛び回ると、何度か鳴き、森の奥に向かっていく。森の奥には雲に包まれた山が見えた。恐らくそこにドラゴンが棲む場所があるのだろう。
  声をかけようとして、どこかバツが悪くなってアルは黙った。
「ここもまた世界樹の一族ですね。母親から聞いたのですが、何本か存在しているそうですよ」
「博識な母上だな。やはり魔術士か?」
「魔術というか、精霊使いかな。エルフですし」
「血がつながってるおは思えないし。エルフに育てられるとは珍しい」
「だから、こうした事も知っています。この辺りの樹も精霊を宿していますね」
  フェイトがなぞると何かが姿を見せかけた。
「今のようなものが意思を持つ。地母思想だな」
「さらに連なって星の意思を為す。それがエルフたちの思想です。というか、実際見ないとなかなか納得できないかもしれませんが」
「そうだな。そういうことは長い目で見ないと分からないんだろうな」
「ここなら見えるかもしれないですね」
  フェイトは少しばかり警戒しながらアルの肩を持った。
「飛びますよ」
「なんだ?」
「神の目を使って見てください」
「なんだいったい」
  アルの目が黄金の輝きを宿す。
「これは」
  アルがずっと歩いていたと思っていた森を支えていた大地。それは大地ではなく、木であったのだ。巨大な樹が根を張り、ずっと広がっており、その上に森があるのだ。
「分かりましたか?」
「ああ。これは」
「そう。フミヨが望む物は実はここまで来る必要ないんですよ。祖の森の端でも場所さえよければ手に入る可能性がある」
「どうしてそれを話さないんだ?」
「内緒です」
  フェイトは冗談めかしていうと、そのまま宙を翔け。山頂としか思えない、樹の上に降り立った。
  アルは視線を感じた。というよりは魔術を用いた何らかにより調べられている。千里眼
  それはドラゴンかエルフかは分からない。
「こうしてとるのは誰でもなく、わしに責任があることだ」
  アルはそう告げると、地面にしか見えない樹に頭を下げた。
「少し貰っていきます」
  短剣を地面にを立てるようとするとあっさりと折れた。
「むう」
  アルは太目の短剣を出した。それでも無駄だった。
「これならたとえあったとしても無駄だな」
「よかったらこれを」
「じゃあ、いいのを一振り差し上げますからそれは置いていってください」
「悪いな」
  フェイトはダガーを差し出した。抜いてみるとミスリル銀で作られた刃は抜くと美しい刃紋をしており、業物だというのが分かる。
「これはいい短剣だな」
「ええ。自分が最初に作った魔法の品ですから。魔力はそんなにないですが折れることはないですよ」
「ありがとう」
  アルはもう一度地面に頭を下げると、岩のようだった樹皮があっさりと切り裂いていった。
「すごいな」

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